ラシェルは今日も大騒ぎ


 ジュリアの恋人は、母国では英雄と呼ばれている。
 容姿端麗。頭が切れて腕も立ち、さりげない気品と強靱で前向きな精神が周囲の者の目を自然と引きつける。
 女らしさと縁遠い自分には勿体ないくらいの恋人だと彼女は思うのだが、いざ彼と二人きりになると、どうも様子が違う。
「今夜こそその気にさせてやるよ♪」
 休暇を翌日に控えた晩、嬉々として迫ってくる恋人を必死で押しとどめながら、ジュリアは(この状況はどうにかならないのか!?)と切実に考えた。


 保養地ラシェル。大陸一設備の整った保養所で知られる閑静な街だが、今日はその静けさを払拭する来訪者達を迎えている。
 日光の中でなお鮮やかな魔力の光に包まれ、街の入り口に音もなく現れた五人組(いや、六人か?)は、おおよそ十代(例外あり)。突然の出現に驚く目撃者数名をよそ目に、くつろいだ雰囲気で伸びなどしている。
「ルイセちゃん、お花畑まで競争しよう♪」
「ああん、待ってよミーシャ!」
 静かだった街に笑い声を響かせ、二人の少女達がじゃれ合いながら花畑めざし駆けていく。
 茶色の髪を長く伸ばした傭兵は、あくび混じりで一人のんびりと歩き出した。
 そして残った黒髪とシャンパンゴールドの髪の二人は。
「やっと二人っきりだな、ジュリア♪」
 黒髪の少年が金髪の連れを抱き寄せようとして、自らの羽で飛んでいる小さな少女に、げしっ!と蹴られる。
「なーにアタシをわざと忘れてるのよ!」
 ラヴィリオンは、最近やや蹴られ慣れてきた頭を撫でた。
「ちょっとは気を利かせろよ……せっかくラシェルに来たんだから」
 彼の仕えるアルカディウス王がパワーストーンを使うかどうかを決断するまでのわずかな休日。
 このメンバーでラシェルに来ればルイセとミーシャはお花畑に夢中になるに違いないと踏んで、特に娯楽も(ついでに言えば家族風呂付きの温泉も)無いこの街に来たのだ。
 すべては、愛しいインペリアルナイトと二人きりで甘い時を過ごすため、なのだが。
「ふ〜んだ! アンタはリーダーなんだからね。お休みだって、みんなの相手をするのが当然じゃない」
 アカンベしているティピの正論はともかく、
「悪いが……私は、ちょっとカレンと話したいことがあるのだ。昼前に合流しないか?」
 すまなさそうな恋人の言葉に、ラヴィリオンは多大な衝撃を受けた。
「俺よりカレンと話したい!?」
「あ、いや、その」
 少し相談したいことがあって、と言葉を濁すジュリアンの金の瞳を、ラヴィリオンの色違いの瞳が悲哀たっぷりに覗き込む。
「ジュリア。俺のこと好きじゃなくなったのか……?」
 気圧されて、ジュリアンは思わず後ずさりかけた。
「そ、そんなことはない! ただ……その……」
 見かねたティピが口を出す。
「やめなさいよ、ジュリアンが困ってるじゃない。午前中くらい他のみんなと話してなさいよ、どうせ明日だってジュリアンと一緒にいるつもりなんでしょ?」
 お目付役に諭されることよりも、ジュリアンの切なげな瞳がラヴィリオンにはずっと痛い。
「分かったよ……後で迎えに行く……」
 自分から背を向けて街の北へとぼとぼ歩き出すラヴィリオンを、ジュリアンに手を振ってからティピが追う。
 ジュリアンは罪悪感にさいなまれながら、そんな二人を見送った。


 定時の巡回も無事に済み、カレンは控え室で他の看護婦達とお茶を飲んでいた。激務の合間を縫って、とりとめもない噂話に花を咲かせる穏やかな、しかしラヴィリオン達と冒険していた頃と比べると、少し退屈な時間が流れる。
 けれど、開けっ放しの戸口からインペリアルナイトの制服を着た麗人が現れた時、そんな時間は終わりを告げた。
「失礼。カレン、少し時間を貰えないか?」
 看護婦達はジュリアンの美貌に色めいた。
(ちょっとカレン、どこで知り合ったのよ!?)
(頑張ってね♪)
 ジュリアンが女性だと知らない同僚達からひそひそ声で激励されつつ、カレンは空いている病室にジュリアンを案内した。
「休憩中にすまない。実は……貴方が薬草に詳しいと聞いたので、頼みたいことがあるのだ」
 ジュリアンとカレンがまともに話をしたことは、実は数えるほどしかない。ガムランの隠れ家から救出した後、ラヴィリオンはカレンの監禁生活での心の傷をおもんぱかってパーティに加えなかったのだ。
 そのため、カレンがジュリアンと一緒にいる時のラヴィリオンの様子を聞いたのはこれが初めてだ。
「あのラヴィリオンさんが、ですか?」
 カレンにはどうもぴんとこない。彼女の知るラヴィリオンは、大人びていつも落ち着き払った頼りがいのある若者なのだ。
 世間的にはカレンと同じ見解の者が圧倒的に多く、だからこそラヴィリオンは英雄呼ばわりされているのだが。
 無論ジュリアンとて彼のそういう面は見ているし、特に猫かぶりしていると思ったことも無い。だからこそ、二人きりの時、彼の変貌ぶりにうろたえてしまうのだ。
「そうなのだ。それで、頼みたいのは……」
「カレンさん!」
 バタンと病室のドアを開け、あわただしく飛び込んできたのはジュリアンの知らない赤毛の男だった。
「ドナルドさん……」
 やや引いたカレンの前にドナルドは突進した。
「貴方は僕という者がありながら、こんな年下の優男と……!」
 ドナルドはカレンの手をがしっ!と握……ろうとして、ジュリアンの腕に遮られた。
「ご婦人に対して、あまり礼にかなった態度とは言えないな」
 ジュリアン自身も『ご婦人』の筈だが、身についたナイトの意識がか弱い女性を守る方へと働いているようだ。
 ジュリアンの腕にぶつかったドナルドは抗議しようとして、ジュリアンとまともに目を合わせてしまった。
 インペリアルナイトの冷ややかな金の瞳は、百戦錬磨の猛者も威圧する。ドナルドは、その一瞥で身も凍る恐怖を味わった。
「お、お幸せに……っ!」
 何やら独り合点しているドナルドは、一目散に逃げ出した。
「何だったのだ、あの男は……」
 保養所の床を踏み抜きそうな勢いで走り去る赤毛の後ろ姿を呆れて見送るジュリアンに、カレンは説明した。
「以前にここでお世話した患者さんです。その……私に、結婚して欲しいとおっしゃって……私には好きな人がいるからと言ってお断りしても聞いてくれなくて、困っていたんです」
 『好きな人』という言葉に驚くジュリアンの視線を避けるように、カレンは握り合わせた両手の上で目を伏せた。そのために、戸口に新たに登場した金髪の男に気づくのが遅れた。
「カレン。好きな人がいるというのは本当かい?」
 今度の男は、刺繍入りのマントを着て羽と宝石のついた帽子を持ち、見るからに高価そうだが実戦には使えそうもない装飾の多い短剣を腰に提げている。
「それは……」
 カレンは虚を突かれて口ごもった。
 彼女の愛する人は、彼女自身の兄。ラヴィリオンとティピには成り行きで教えてしまったが、他人には勿論、本人にも決して言えない恋なのだ。
「ふっ。出任せですべての男を追い払えると思うかい? 君を幸せにできるのはこの僕だよ。君のお兄さんも、二人の仲を祝福してくれている」
 気障なポーズを取る男の後ろに所在なげな兄の姿を認め、カレンは呆然とした。
「兄さん……」
 いや別に祝福ってじゃほどねぇけど少なくとも金には困らないかなと思って、などともごもご言う兄を、カレンは目に涙を浮かべて睨み上げた。
「いいえ! 私には本当に好きな人がいるんです!」
 ジュリアンは、いきなりカレンに抱きつかれて仰天した。
「この人です!!」
 大声で宣言するカレンに、いつの間にか病室前の廊下に物見高く集まっていた医師や看護婦や患者や見舞客が一斉に拍手喝采した。


 晴れた空、鳥達のさえずり。
 一面広がる花畑は、手入れが行き届いていながらも『ご自由にお摘みください』の看板のおかげか、ところどころ花がまばらだ。
 その一角に座り込み、ラヴィリオンは妹とその友人に付き合って花冠を編んでいた。
 もともと器用なため、たとえ心がここには無くても、指は花々を色鮮やかな綱にきっちりと組み上げていく。
「お兄ちゃん、それ、もう随分長いよ? 花冠じゃなくて首飾りになっちゃう」
 妹に指摘され、ラヴィリオンは我に返った。
「何やってんのよ、ちょっと女に振られたくらいでさ?」
 ティピが言わなくていいことを言ってしまい、ルイセとミーシャを驚かす。
「振られたって、お兄ちゃん!?」
「え〜っ、お兄さま、ジュリアンさんに振られちゃったんですか? そしたらそしたら、チャンス到来!? ああでも、アタシにはアリオスト先輩という新たな求愛者も〜……ああ、アタシって罪な女☆」
 久々の妄想モードに突入したミーシャは置いといて、ルイセは真剣な表情だ。一度は諦めたものの、片思い歴数年のキャリアを持つ義妹にとっては大事件なのだ。
「違うって! ティピ、変なこと言うなよ! 午前中はカレンと喋っていたいって言われただけだ。昼からはデートだ!」
 いつもは余裕をかます義兄がせっかく編んだ花の綱をぐぐっと握って力んでいるのを見上げ、水色の瞳が微妙にたゆとう。
「そうなんだ……」
「そう! この花冠だって、ジュリアンに持ってって……」
 手元でぐしゃりとつぶれた花の綱を見下ろし、ラヴィリオンは慌てて傷んだ花を外しはじめた。


 大きな音を立てて舌打ちしている金髪の男やほけっと自分を見ているゼノス、そして自分の首にしがみついているカレンを見比べ、ジュリアンはようやく自分がカレンの思い人役にされているという現実を直視した。
「カ、カレン、私は……」
 困惑しながらも失礼かと思ってカレンの腕をふりほどけないジュリアンに、金髪の男はひきつりながらも余裕げな笑いを作ってみせた。
「ふ、たじろいでいるね。そんなことで彼女を幸せにできるのかな? 遊び半分で年上の女性に手を出したことを、後悔しているんじゃないのか? 本当に彼女を愛しているなら、堂々とゼノスに『妹さんを僕に下さい!』と言ってみるんだな」
 どうやら、ジュリアンは『カレンをいいようにもてあそんで、いざ結婚となるとしりごみする年下の男』ということにされてしまったらしい。くらくらする頭を押さえて、どうにかカレンに恥をかかせなくてすむような反論を考えようとしていたジュリアンに、ゼノスの一言がとどめを刺した。
「……いやぁ、ジュリアンって手もあるかな」
(何だって!?)
 金色の双眸が、これ以上ないというほどに見開かれる。
「考えてみりゃあ貴族だし、強いわ学もあるわ……問題はバーンシュタイン人だから俺がしょっちゅうカレンに会いに行けなくなることぐらいだな。まあ、嫁に出したら兄貴なんかの出る幕は無いか。頑張れカレン、玉の輿だぜ♪」
 ぽん!と愛する兄に肩を叩かれ、カレンは凍りついた。首に回された細い手の震えに、ジュリアンも真相に気づく。
(まさか……何ということだ。だからカレンは他の男を寄せつけまいと……)
 同時に、カレンが渋っているのに安易に他の男との結婚を勧めるゼノス(本人は妹に男として愛されているなどとは夢にも思っていまいが)にも腹が立つ。
「断る。妹を右から左へ融通するような男に玉の輿呼ばわりされる筋合いは無い!」
 ぴしりと言い放ったジュリアンに、ゼノスは顔色を変えた。
「何だとぉ!? 俺はカレンのためを思って……ええい、表に出やがれ!」


 ラヴィリオンは、作り直した花冠を片手に提げて、保養所への道を一人ぶらぶらと歩いていた。
 約束の時間にはまだ大分あるが、保養所にはゼノスもいるはずだから暇つぶしはできる。何より、『振られた男』のレッテルを貼られて気を使われることに彼自身我慢できなかったのだ。
(たかだか午前中は一緒に過ごせないだけで)
 しかし、『たかだか午前中だけ』のことで朝、悲嘆にくれたのは当のラヴィリオンである。
(昔は、恋愛で悩んでる男なんてまるっきりバカに見えたんだけどな……)
 我が身になったらこのていたらく。妹や敬愛してくれていたミーシャにまで哀れまれる始末だ。
 プライドの高いラヴィリオンにとっては、不本意きわまりないことなのだが。
(思い通りに振る舞えるなら恋じゃない、か……)
 どこかで読んだそんな台詞が浮かんだ時、保養所の方向からどよめきが聞こえた。
 ラヴィリオンは、全速力で駆け出した。


「すかしてんなよ。たかだか傭兵ごときには構ってられないってか!?」
 決闘を断ったのに保養所前の広場を横切って追ってくるゼノスを振り向き、ジュリアンは言い捨てた。
「私が保養所から出てきたのは、お前が騒いで患者達に迷惑がかかるといけないからだ。私闘に付き合ってやるつもりなど、最初から無い」
 すでに保養所前は、保養所の中からついてきた人々と騒ぎを聞きつけて集まってきた人々、けっこうな人だかりができている。
 それ以上ゼノスに構わず、つかつかと歩み去ろうとするジュリアンに、ゼノスはぶち切れた。
「どうでも俺をバカにするんだな!?」
 背後から繰り出された拳を、振り向きざまに、ひら、とよけて、細い身体が瞬時にゼノスの背後に回り込む。同時に白い手袋をはめた手がゼノスの盆の窪を的確に打ち、ジュリアン自身よりも一回り大きな男は声もなくどうと倒れた。
「兄さん!」
 のびたゼノスに駆け寄ってすがりつくカレンを見下ろし、ある種の感慨をおぼえていたジュリアンは、後ろから腰を抱えられるまで、その気配に気づかなかった。
「っ!!」
 反射的に跳ね上がり、慌てて振り向く先に黒髪。
「ラヴィ……」
 つい、二人だけの時にしか使わない呼び方をしてしまい、ジュリアンは赤面した。
「お待たせ、ジュリア」
 ゼノスごときに傷つけられる技量ではないが放っておけない恋人の頬にラヴィリオンはくちづけた。
 ジュリアンは、いまだ慣れないくちづけを目を細めて頬に受け止め……思わぬ展開に身を乗り出す野次馬の群に総毛立った。
「は、離れろ! 見られているではないか!」
 もがくジュリアンを、ラヴィリオンは固く抱きしめて放さない。
「やだ。午前中ずっと離れてたんだからな」
「そんな……」
 羞恥に灼ける耳たぶ。甘い苦しさに包まれて、ラヴィリオンを押しのけるべきジュリアンの腕から力が抜ける。
 いや……『ジュリア』だ。彼の腕の中で、彼女はいつも。
(普段の自分でいられないのは……私も同じ、か……)
 二人きりになった時のラヴィリオンの暴走ぶりに手を焼いて、カレンに鎮静剤など貰って飲ませたらどうだろう、などと考えた自分が勝手な人間に思えてくる。
「兄さん! 気がついたのね」
 ゼノスを介抱していたカレンの声が明るく弾む。
「ん、ああ……すまねぇ、カレン。お前を玉の輿に乗せてやろうと思って、ジュリアンを婿さんにする筈が……」
 地面から上半身を起こし、ゼノスはまだ言っている。呆れたジュリアンが口を開くより先に、騒ぎを聞きつけて野次馬達の上を飛んできたティピが口を出した。
「何言ってるのよゼノス、ジュリアンは女の子だって、アタシが前にちゃ〜んと教えてあげたじゃない」
 てっきりゼノスはジュリアンを男だと思って縁談?を勧めていると考えていたため、カレンとジュリアンはあっけに取られた。しかし二人の気も知らず、ゼノスは力強く言い切った。
「いいや! カレンを幸せにできれば、子供が作れないことなんて俺は全然気にしないぜ!」
 その頭に、黒い靴の踵がげしっ!とめり込む。
気にしろよ
 金銀妖瞳の英雄は、さっきジュリアンに殴りかかった分も含めて、恋人の義兄になりそこねた男を丹念に踏みにじった。


「いいんですか? 私に何か頼みたいって……」
 別れ際に言うカレンに、花冠を頭に載せたジュリアンはさわやかな笑みを見せた。
「ああ。私には、貴方のようにはた迷惑な崇拝者達も無粋な兄もいないからな。ラヴィリオンの一人や二人、自力で何とかしてみせよう」
 こんないい男が二人もいるわけないだろ、と隣でほざいたラヴィリオンは、保養所を後にしてからジュリアの頬をつついた。
「それで? 俺をもっといい男にできる薬でも頼もうと思ったのか?」
 大体の見当はついているらしく人の悪い笑みを浮かべる恋人を、ジュリアはちょっと睨んだ。
「お前があまりにべたべたくっついてくるから、どうにかならないかと思ったのだ。薬に頼るのはやめたがな」
 ラヴィリオンは肩をすくめた。
「好きな娘が目の前にいるのに、触りたくない奴がいるかよ」
 反省の色、まったく無し。しかし、ここで諦めては何も変わらない。
「お前は度が過ぎるのだ! 昨夜だって……良い本を読んだと言うから、何かと思えば……」
「いいと思ったんだけどな。ダンディーブックの『彼女をソノ気にさせるツボ』特集」
 それで昨夜は「押してやるから背中出せよ♪」と迫るラヴィリオンからジュリアはほうほうの態で逃げたのだ。
「いいわけがあるか! 大体お前は、普段と私といる時の違いが大きすぎる。少しは平常心を保てないのか!?」
 ジュリアにかみつかれても、ラヴィリオンは涼しい顔をしている。
「仕事中の俺は騎士。みんなといる時の俺はリーダー」
「……それで、私といる時は?」
 ごまかされないぞという決意がにじむ視線を受け、ラヴィリオンの美貌がひどく魅力的な笑みを描いた。
「オス♪」
「……っ、それがいかんと言っているのだ!!」
 顔面めがけて突き出されたジュリアの拳を片手で受け流し、ラヴィリオンの指が恋人の髪を縛るリボンをほどく。
 ふぁさ、と広がるシャンパン色の長い髪。
 それに酔っている。昼間でも誰の前であっても、ジュリアの存在自体がラヴィリオンを酔わす。
「諦めろってば。お前が俺を発情させてるんだから」
「誰が!」
 ジュリアは怒鳴った。その純情さも、かえって男心をそそるのに。
「諦めないぞ、私は! でなくば、安心してお前に近寄れないではないか! せっかく両思いになったのに……」
 最後の一言に涙がじわっと添えられて、ラヴィリオンは腰が抜けそうになった。
「そういう問題だったのか……」
「悪いか!」
 泣くまいと金色の瞳をしばたたく恋人が愛しくて、ラヴィリオンはジュリアの両頬を両手で包んだ。
「いいよ、すごく。愛してる」
 優しい響きとぬくもりに、ジュリアの表情がほころぶ。
「ならば、もう……」
 何もしないな?と聞かれる前に、ラヴィリオンはジュリアの口を自らの唇でふさいだ。
 守れない約束はしない。それが彼なりの誠意だから。
 意味を正確に酌み取ったジュリアは抗ったが……やがて、心地よい感触にとろける。
 恋する二人のこの攻防。いつ終わるやら、まるで分かったものではない。




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